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Blogお知らせ・循環器診療
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2023.08.27お知らせ・循環器診療
心臓外科(僧帽弁形成術)が当院で実施可能になりました
当院はJACCT動物心臓血管ケアチームと提携を結び、北陸で唯一、僧帽弁形成術を実施することが可能となりました(2023年春現在)。
JACCT動物心臓血管ケアチームのホームページはこちらから。
目次
僧帽弁閉鎖不全症について
僧帽弁閉鎖不全症とは?
左心房と左心室の間にある弁(僧帽弁といいます)が何らかの異常により完全に閉じなくなり、左心室から左心房へ血液の逆流を生じる病態を僧帽弁閉鎖不全症といいます。
弁がうまく閉じなくなる原因として、弁自体が腫れぼったくなる粘液腫様変性という病態のせいや、弁を支える腱索という糸状の構造物が伸びたり切れたりするせい、などが多く挙げられています。
加齢性、または遺伝的要因が考えられています。
進行性の疾患であり、弁変性が進行すると共に僧帽弁逆流の病態も悪化していきます。
初めは咳や疲れやすいなど、「歳のせいかな?」と勘違いするような軽い症状から始まりますが、重度になるにつれて安静/睡眠時の呼吸数が増加し、肺のうっ血を生じることで呼吸困難になり、最終的に肺水腫となり死に至る可能性のある病気です。
僧帽弁閉鎖不全症の治療方法は?
一般的には薬物を用いた内科的治療が主体となっています。
・心臓の動きを強くする(強心作用)
・血管を広げて心臓から全身へ血液を駆出しやすくする(血管拡張作用)
・血液量を減らして心臓の負担を下げる(利尿作用)
などの効果をもつ薬を、病態に合わせていくつも組み合わせて行います。
投薬に終わりはなく、生涯飲み続ける(しかも量・種類共に増え続ける)ことになります。
弁の変性自体を改善する薬は現時点では存在せず、上記の治療は全て対症療法といえます。
病態が悪化し心不全に至ってしまった場合、点滴・注射や酸素室など、入院による集中管理が必要となります。
僧帽弁形成術とは?
内科治療には限界があり、薬を飲んでいたとしても心不全にはなり得ます。
そのため進行した僧帽弁閉鎖不全症を根本的に解決するには、「物理的に治す」外科治療しかありません。
僧帽弁形成術とは、特殊な薬剤を用いて一度心臓の動きを止め、全身循環を人工心肺とつなぐことで維持し、左心房を切開し壊れた僧帽弁を修復する手術です。
伸びたり切れたりした腱索を人工の糸によって再建する腱索再建術、心臓が大きくなるにつれ拡大してしまった弁の周囲を巾着のように縫合して縮める弁輪形成術を中心とし、それぞれの弁の状況に応じていくつかの手技を組み合わせることにより逆流を防ぎます。
術後は徐々に投薬内容を減らすことができ、最終的には飲み薬なしで元気に走り回ることが出来るようになります。
実施には高度な技術・知識・経験、チームの連携が必要となるため、専門性の高い獣医師のチーム医療によってのみ可能となっています。
それ故これまでは都市部の専門病院でしか手術がうけられませんでしたが、特殊な医療機器の導入とJACCTによる専門チームの遠征により、地方でも実施できるようになりました。
当院は2023年現在、北陸で唯一の対応病院となっております。
手術を検討されている方へ
手術の適応は、ある程度進行した僧帽弁閉鎖不全症となります。
手術の実際を聞いてみたい、将来的に検討したいなど、お悩みの場合でもご相談頂けたらと思います。
手術を希望される際は一度ご連絡(電話、お問い合わせ、LINEなど)ください。
日程調整の上ご来院頂き、現病態の確認のためスクリーニング検査(血液検査、レントゲン検査、心臓超音波検査など)を実施させて頂きます。
その後JACCT担当医からのインフォームドコンセントを経て、手術のスケジュール調整となります。
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